じれったい
テレビを消すと、2階へと向かった。
向かった先は自室ではなく、その隣りである母の部屋だった。
ガチャッとドアを開けて電気をつけた瞬間、埃っぽいような湿っぽい匂いが鼻を刺激した。
母の部屋に入ったのは久しぶりだった。
最後に母の部屋に入ったのは通夜の前の日で、遺影に使う母の写真を選んでいた時だった。
「――ずいぶんと時間が経っていたんだな…」
通夜の席であの出来事があって以来、何となくだけど母の部屋に入ることができなかった。
閉めきっていたカーテンを開けると窓を開けた。
空を見あげると、東から徐々に水色に染まっていた。
もう朝が近いようだ。
朝が近づいている空から視線をそらすと、今度は部屋の中を見回した。
本棚には福祉関連の本や好きで読んでいた時代小説、机のうえには資格関係の本が置いてあった。
壁にはベージュ色の薄手のカーディガンがハンガーにかけられていた。
向かった先は自室ではなく、その隣りである母の部屋だった。
ガチャッとドアを開けて電気をつけた瞬間、埃っぽいような湿っぽい匂いが鼻を刺激した。
母の部屋に入ったのは久しぶりだった。
最後に母の部屋に入ったのは通夜の前の日で、遺影に使う母の写真を選んでいた時だった。
「――ずいぶんと時間が経っていたんだな…」
通夜の席であの出来事があって以来、何となくだけど母の部屋に入ることができなかった。
閉めきっていたカーテンを開けると窓を開けた。
空を見あげると、東から徐々に水色に染まっていた。
もう朝が近いようだ。
朝が近づいている空から視線をそらすと、今度は部屋の中を見回した。
本棚には福祉関連の本や好きで読んでいた時代小説、机のうえには資格関係の本が置いてあった。
壁にはベージュ色の薄手のカーディガンがハンガーにかけられていた。