じれったい
会社から自宅の距離が近いと言うのは、本当に便利なものである。

「ただいまー」

激しい雨風の中で自宅へ帰ると、私は息を吐いた。

思った以上の暴風だった。

そりゃ、警報が出て帰れと言われる訳だ。

家中の電気を全てつけると、雨戸を全て閉めた。

気休め程度だけど台風対策はバッチリだ。

それまで着ていたスーツからジーンズにTシャツに着替えると、テレビをつけた。

いつも通りに番組がやっていたけれど、その横では台風情報が流れていた。

「何にもやってないなあ…」

時計に視線を向けると、11時を過ぎたところだった。

この時間でやっているものと言ったら、情報番組くらいである。

少し早いような気もするけれど、昼食にするか。

ピンポーン

そう思ってキッチンの方に行こうとしたら、玄関からチャイムが鳴った。
< 141 / 273 >

この作品をシェア

pagetop