じれったい
「えっ、玉置常務…!?」

突然のことに驚いて戸惑っている私に気づいていないと言うように、玉置常務から寝息が聞こえてきた。

あらら、これは寝てしまったようだ…。

片方だけ重くなった肩に、玉置常務が眠っている。

その寝顔は幼い子供のようで、私の心臓がドキッと鳴った。

玉置常務も寝る時は寝るんだな…。

人間だから寝るのは当たり前だと言う話だけど。

そう思いながら玉置常務に向かって手を伸ばすと、彼の黒い髪をなでた。

サラサラと、指通りがとてもよかった。

「こんなの初めてなのに…」

私の呟いた声に気づいていないと言うように、玉置常務はよく眠っていた。

彼の黒い髪からは、シャンプーの匂いがしていた。
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