じれったい
「――玉置常務…」

私は眠っている玉置常務の名前を呼んだ。

胸が苦しくて、だけど温かいこの気持ちは一体何ですか?

この気持ちを経験したのは初めてだから、私はわかりません。

でも、一言だけあなたに言いたいことがあります。

「――好きです、玉置常務…」

呟いているような小さな声は、眠っている玉置常務には聞こえていないことだろう。

だけど、それでもいい。

またいつか、今度は起きている時に同じセリフを言えばいいだけのことだから。

雨戸の向こう側はまだ暴風雨が続いていることだろう。

警報が解除されたと言うニュースが流れてもいなければ、速報も出ていない。

私はソファーに躰を預けるような体勢になると、そっと目を閉じた。
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