じれったい
『お前もわかっているとは思うが、母さんは3年前から癌を患っている。

この間医師から、もういつ死ぬのかわからないと告げられた。

仕事で忙しいから帰ることができないのはわかるけど、最後に1度だけ母さんに顔を見せてやってくれ。

母さんもお前に会いたがっているんだ。

だから、会いに行ってやってくれ。

雅志より』

玉置常務のお母さんが癌に?

もういつ死ぬのかわからないって、それって…。

お兄さんからの手紙に、私はどうすればいいのかわからなかった。

その時、それまでスーツの胸ポケットに入れていたスマートフォンが震えた。

取り出して着信を確認すると、玉置常務からだった。
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