じれったい
「――もし、もし…?」

呟くように電話に出たら、
「矢萩さん、大丈夫ですか?」

玉置常務の声が聞こえた。

「はい…」

呟くように返事をしたら、
「あんまりにも遅いから、何かあったんじゃないかと心配していたんです。

今、どこにいますか?

迎えが必要だったら、そちらへ行きますが…」

心配そうな玉置常務の声に、
「大丈夫です。

充電器がどこに置いてあるかわからなくて、ちょっと探してたんです」

私は首を横に振って答えた。

ベッドの横の隣に置いてある充電器を手に取ると、
「ベッドの下に落ちていました」

私は言った。

我ながら、すぐに見抜かれてしまいそうなウソだ。
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