じれったい
これが電話でよかったと、私は心の底から思った。

「おや、そうでしたか」

ウソを信じてくれた玉置常務にホッと胸をなで下ろすと
「充電器も見つかりましたので、すぐに帰ります」

私は言った。

「そうですか。

気をつけて帰ってきてくださいね」

玉置常務はそう言った後、電話を切った。

「よかった…」

そう呟いた瞬間、ドッと汗が吹き出てきた。

散らばってしまったゴミをゴミ箱の中に入れると、元の場所に置いた。

電気を消して、逃げるように部屋から飛び出した。

合鍵でドアを閉めると、
「あっ…」

手に封筒と手紙を持っていることに気づいた。
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