じれったい
会社の前にいる男を、玉置常務は信じられないと言う顔で見ていた。

「玉置常務、どうかしたんですか?」

様子がおかしい玉置常務に、私はどうすればいいのかわからなかった。

その時、彼が私たちの方に視線を向けてきた。

ヤだ、どうすればいいの?

「和歳!」

彼はそう声をかけると、私たちのところへ駆け寄ってきた。

「えっ、和歳?」

玉置常務の名前を知っていると言うことは、玉置常務の知り合いなんですか?

そう思っていたら、
「行きましょう」

玉置常務が私の腕を引っ張った。

「えっ、あの…!?」

たった今きた道を引き返そうとする玉置常務に、
「和歳、待ってくれ!」

私たちに追いついた彼が通せんぼをするように目の前に立った。
< 189 / 273 >

この作品をシェア

pagetop