じれったい
大学進学と同時に、僕は生まれ育った故郷を離れた。

これから僕が行くところは、誰も僕のことを知らない場所。

そして、邪魔者である兄がいない場所。

そこで僕はこれからの人生を1人で、誰にも邪魔されずに過ごして行く。

心の中でそう目標を立てると、僕はやってきた電車に乗った。

大学は勉強やバイトはもちろんのことだが、趣味である映画も楽しんだ。

映画研究のサークルに入って、そこで自主制作で映画を作ったり、いろいろな映画を見て勉強したりと、いろいろなことを楽しんだ。

僕は僕でありのままで大学生活を謳歌した。

美知留以外の女性と何人かとつきあった…のだが、結局は何かが違うと感じて自分から別れを告げるのがほとんどだった。

彼女たちが美知留と違うのは当たり前だ。

だけど、心のどこかで美知留と比べてしまう自分がいた。
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