じれったい
何が顔を見せてやってください、だ。

忙しいと思ってるんだったら手紙を出すな。

カバンから携帯電話を取り出すと、着信が3件あった。

その全ての着信は、兄からだった。

「ふざけんな!」

僕は携帯電話に向かって吐いた後、兄からの着信を全て消して着信拒否にした。

手紙を破り捨てたとは言え、兄から手紙がくることは間違いないだろう。

もしかしたら、兄がここへくるかも知れない。

「ジョーダンじゃないっつーの」

僕は呟いた後、すぐに引っ越しの準備を始めた。

兄から手紙が届いた1週間後、僕は逃げるように引っ越しをした。

大学進学と同時に故郷を離れて、僕は決めたのだ。

もう2度と家族には会わない、と。
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