じれったい
玉置常務の過去を聞いた時、私は思った。

過去と向きあって絶ち切ることを教えてくれたように、玉置常務も同じように過去と向きあって絶ち切って欲しいと思った。

「思い出が乾けば燃やすことができるのは、そう言う意味なんじゃないかと私は思っているんです。

過去のことを根に持ったままで人生を過ごすよりも、過去とちゃんと向きあうことなんじゃないかと思うんです。

大切な思い出は燃やさずに取って置いて、捨ててしまう思い出はそれこそ乾いてから燃やす…そう言うことなんじゃないかと私は思っています」

今度は、私が玉置常務の背中を押す番だ。

私が過去と向きあうことができたように、玉置常務も過去と向きあって欲しい。

そう願いながら、玉置常務に言った。
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