じれったい
それでも向きあうことができないなら、私も一緒に向きあってあげるから。

1人は怖いかも知れないけれど、2人ならできると思うから。

玉置常務は赤くなった目をそっと伏せると、
「――僕も、できますか?」

呟くように聞いてきた。

それに対して、私は首を縦に振ってうなずいた。

「できますよ。

私もできたんですから、玉置常務もできますよ」

私は言った。

「一緒に向きあってくれますか?」

そう聞いてきた玉置常務に、
「もちろんです。

私はあなたの秘書ですから、どこまでもおつきあいいたします。

それこそ、玉置常務のお気の済むままに」

私は答えた。
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