じれったい
病室の前にいたのは、ゆるくパーマがかかった黒髪のロングヘアーが特徴的な女性だった。

「どうも、こんにちわ」

玉置常務が彼女にあいさつをして病室のドアに手をかけようとしたら、
「もしかして、雅志さんの弟の和歳さんですか？」

彼女が声をかけてきた。

「そ、そうですけど…？」

玉置常務は何で知っているんだと言う顔をした。

「初めまして、雅志さんの妻の一恵です」

彼女――一恵さんはペコリと、丁寧に頭を下げた。

「か、カズエ…？」

玉置常務は訳がわからないと言う顔で彼女を見つめていた。

その様子からして見ると、彼はお兄さんと美知留さんが夫婦になっていると思っていたのかも知れない。
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