じれったい
「――好きです」

私は言った。

自分の気持ちを玉置常務に伝えた。

「あなたのことが好きです」

例え彼の口からどんな返事が返ってきたとしても、必ず受け入れる。

“悪い子ではないんだけどね”って振られたとしても、もう泣かない。

そう思いながら、私は玉置常務の返事を待った。

玉置常務は微笑むと、
「僕もです」
と、言った。

「僕もあなた――莉亜のことが好きです。

この先の人生はあなたと一緒に過ごしたいと、そう思いました」

彼の口から出てきた返事に、私の目から涙がこぼれ落ちた。

「あなたは僕の背中を押して、一緒に過去と向きあってくれました。

莉亜が僕のそばにいてくれれば、他には何もいりません」

「――ッ…」

こぼれ落ちる涙を、玉置常務の指がぬぐってくれた。
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