じれったい
玉置さんは秘書課のドアを開けた。

「おはようございます」

そこにいたのは、ドラマに出てきそうなキレイな女性だった。

年齢は30代後半くらい…と予想したけれど、私と同い年だと言われたら信じてしまいそうだった。

170センチ近くあるだろうと思われる長身に、ストライプが入った紺色のパンツスーツがよく似合っている。

それに対して私は、2年前の近所の紳士服店の閉店セールで買った模様が入っていないグレーのパンツスーツを身につけているのだが…恥ずかしくなってしまった。

身長もそんなにないから、スーツを着ていると言うよりも無理やり着せられたと言う表現の方が正しいかも知れない。

ピシッと後ろでまとめたひっつめ髪はとても清潔で、いかにもデキる女と言う印象を出していた。

ダサいとか不幸に見えるとかひっつめ髪に対して悪い印象を抱いていたけれど、それは今までこの髪型が似合う人に会わなかったからだと言うことを理解した。
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