じれったい
私も明日からひっつめ髪にしてみようかなと思ったけれど…やっぱり、やめよう。

似合わないと言われたら立ち直れない。

薄く、だけど丁寧に施されたとわかつ化粧は上品だった。

整えられた爪の先は薄いピンク色のネイルで、ポイントでストーンがあしらわれていると言うのもすごかった。

普段から家事をやっている私には、ネイルは到底無理な話だな。

そう思っていたら、
「あなたが今日から働くことになった矢萩莉亜さんですか?」

ヌーディーカラーの唇が動いて、音を発した。

「あっ、はい。

今日から働くことになりました、矢萩莉亜です。

秘書としての経験は全くありませんが、会社の即戦力になれるように1日でも早く仕事を覚えます。

よろしくお願いします」

私は頭を下げた。
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