じれったい
最初は話が違うじゃないかと思っていた秘書の仕事だが、2週間もするとすっかりなれてしまった。

この調子でコツコツとまじめに仕事をすれば子会社から本社への勤務も夢じゃないかも知れない。

そもそも人手不足が原因で子会社へと配属されたから、ある程度ここにも人が増えたら本社へ移転することが可能かも知れない。

…イケメンの下で働けなくなると言うのは寂しいけど。

そう思いながら書類整理していたら、
「矢萩さん、大丈夫ですか?」

武沢さんに声をかけられたので、彼女の方に視線を向けた。

「えっと、何がですか?」

大丈夫だと聞かれた意味がわからなかったので、私は聞き返した。

「いつもよりも少し顔色が悪いような気がしたので…」

言いにくそうに話を切り出した武沢さんに、
「そうですかね?」

私は頬を手に当てた。
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