じれったい
仕事を終えて家に帰ると、スマートフォンに留守電が1件入っていることに気づいた。

留守電が入った時間を見ると、午後4時を過ぎた頃に入れられていた。

表示されている相手は非通知である。

一応、再生だけはして見るか。

そう思いながら、画面をタップすると留守電を再生させた。

「東光寺です」

納骨してもらっているお寺からだった。

「もうすぐで矢萩亜子(ヤハギアコ)さんの命日ですが、どうされますか?

お電話をお待ちしています」

留守電はそこで終わっていた。

そうか、母こと矢萩亜子が亡くなってからもう11年になるのか。

だけど親戚との縁はすでに切っているので、呼ぶ人はいない。

でも娘なのに放って置くと言う訳にはいかないので、すぐにお寺へとかけ直したのだった。
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