じれったい
常務室に顔を出すと、玉置常務はすでに出勤していた。

私は先ほど武沢さんに相談したことを玉置常務に話した。

「身内の命日で1日だけ休むから、振り替えと言う形で1日だけ出勤したいと言うことですね」

そう言った玉置常務に、
「はい」

私は首を縦に振ってうなずいた。

「それくらいでしたら心配ありませんよ。

僕が本社の方で事情を説明して、1日だけ休みにしてあげます。

身内の法要で欠勤するならどうってことはありません」

そう言った玉置常務に、私は驚いた。

「えっ、でも…」

もう何年も前に亡くなったのに、会社的にはそれは許されることなのですか?

玉置常務はデスクのうえの受話器に手を伸ばすと、
「いつお休みの予定ですか?」

私に聞いてきた。
< 73 / 273 >

この作品をシェア

pagetop