じれったい
７月５日――私が中学２年生の時に亡くなった母の命日を迎えた。

「暑いな…」

晴れてよかったと思ったけど、太陽は容赦しないと言うように周りを照らしていた。

先ほど花屋で買ってきた百合と借りてきた桶と柄杓のセットを手に持った私は、母が眠っているお墓へと向かっていた。

母のお墓にきたのは春のお彼岸の時以来だ。

『矢萩家之墓』

見晴らしがいいこの場所は、母が眠っている大切な場所だ。

こうしてきたのは春以来なのに、あまり時間が経っていないような気がするのは墓石が汚れていないからなのかも知れない。

墓石の掃除と花を添えると、線香に火をつけた。

そっとしゃがみ込むと、母が眠っている墓石を見つめた。

「お母さん、またきたよ…」

そう呟いた後、そっと両手をあわせた。
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