じれったい
おかしいな。

さっきまでここにいたはずなのに…。

「莉亜、どうしたの?」

首をキョロキョロと動かして易者を探している私に、若菜が不思議そうに聞いてきた。

「若菜、私の目の前に誰かいなかった?」

若菜にそう聞いたら、
「誰もいなかったけど、どうかしたの?」

逆に不思議そうに聞き返された。

「そう…何でもない」

私は首を横に振った。

飲み過ぎちゃったせいで、幻覚でも見てしまったのだろうか?

でもちゃんと見てもらったから幻覚ではないと思うんだけど…。

「莉亜、早く帰るわよ」

そう言った若菜に、
「うん、帰ろうか」

私は首を縦に振ってうなずいた。

その場から立ち去る前に、私は振り返った。

やっぱり、そこに易者の姿はなかった。

夢でも見ていたのかな?
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