ヒーロー委員会
クーラーの効いた涼しい部屋の外では蝉がうるさく鳴いていた。


俺たちは中学三年生で冬には人生初めての受験──高校受験を控えた、いわゆる受験生で、大切な夏 真っ盛りというわけだ。


もちろん受験生に夏休みなんて無くて、今日もこうして旭と一緒に近所の図書館で勉強をしている。


周りには誰もいなくて、俺たちと本を整理しているおばさんだけだった。きっと健全な男子中学生なら今頃、素敵な彼女とアツアツな夏休みをエンジョイしているところだ。


さて、そんな夢を見る前に一問でも多く数学の問題を解いた方が自分の為だな。


目の前に開かれた参考書とノートを見つめながら自分に言い聞かせるように心の中で呟いては小さく息を吐いた。


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