君に恋する5秒前
プロローグ
私は今まで生きてきた、16年間の中で、
初めて恋に落ちました。
その人の事を考えれば、寝てばかりいた
古典の授業も目が冴えてるし、体育だって
20倍は頑張れるし、少しでも姿が見れれば
嬉しさで飛び上がってそのまま昇天しそう!
そう思うくらいかなりヤバめの恋に
飛び込んだのは、1か月前のこと。
「大会の日に雨って最悪ー…」
「濡れるし、記録出ないし。」
私は、陸上の大会で競技場にいた。
生憎の雨模様で、帰りの支度をしようと
重い荷物を持ち上げた瞬間…
ツルッ!ドタッ!ダンッ!
決して私が転んだ訳ではない。
目の前にいた、男子が滑って転んだのだ。
「痛っ!!」
小さな声をあげ、その場に尻餅をつく。
一瞬目をパチクリさせた後、
自分が転んだことに恥ずかしくなったのか
徐々に頬と耳が赤く染まっていた。
その姿はまさにテディベアのよう!!!
あまりの可愛さに私は、衝撃をうけた。
(かっかわいい!!何なの!?こんなの初めて!!!
ずっと愛でていたい!ヤバい、ヤバい!!!!)
それは僅か2秒位のことだったはず。
その間に私の脳内はスパークしていて、
駆け寄って、愛でまくるという欲望に
必死で耐えた。
そうして私は一瞬にして彼の虜になった。