僕と死神とその煌きを
僕の前に現れた死神は、僕にとっては天使だった。
生きていた頃の僕は、希望なんて何もなくて、ただただ先のことに恐怖を持ち続けていただけ。
だけど、初めて僕はその"希望"というものを持つことが出来るんだ。
誰だって死ぬのは怖い。
けれど、その先に光があるのなら。
僕自身がその光になれるのなら。
――僕はもう恐れたりはしない。
「ありがとう、ネルロ」
「どうする?このまま君は星になれるし、一旦戻る事も出来る。その選択は君自身が決めるんだ」
その言葉に、迷わず僕は上を指差した。
「……後悔しないかい?」
「後悔?どうして?今の僕は気持ちいいくらいに前向きだよ」
多分その時の僕の顔は、誰が見ても驚くくらいにスッキリとした表情を浮かべていただろう。
ネルロは軽く頷くと、僕の前に再度、手を差し出す。
その手を僕はしっかりと握って――……、そして、僕の身体はまた上昇を続けた。