國比呂少年怪異譚
男の子はその後、私をぐいぐい引いて、駅構内までくると、やっと手を離してくれた。

駅が賑やかで、さっきあった事が信じられなくで呆然としてると。

「大丈夫ですか?」

声かけてきた。

頷いたけど、本当はかなりパニクってたと思う。

相手の名前聞いたりとか、助けてもらった?のにお礼言うとか、まともにできなかった。

男の子は改札まで見送ってくれた。

別れ際に。

「もうあそこ通ったら駄目ですよ」

とか言われた。

「でも仕事あるし」

「命が惜しかったらやめておく事です」

「……」

答えようがなくて黙ってると。

「今日は運よかったんです。貴女の守護さんが僕を呼んで貴女を守ってくれたんですよ」

「………………」

「偶然なんです。わかりますか?貴女が助かったの、たまたま守護さんがわかる人間が、たまたま近くにいた、それだけです。あいつにとり殺されたくなかったら、もう通らない事です」

…守護さんって何なの、守護霊の事?


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