國比呂少年怪異譚
水曜日。

通勤帰りに、今度は俺からメールした。

『ちゃんと寝たか?その他もろもろ、あ~だこ~だ…』

すると、

『昨日はちゃんと寝たよ!今から帰って続きが楽しみ』と返事が返ってきた。

そして夜の11時くらいだったか。

俺がゲームに夢中になっていると、写メが来た。

『鷹が出来たよ~!ほんとリアル。これ作った人マジ天才じゃない?』

写メを開くと、翼を広げた鷹の形をしたリンフォンが写してあった。

素人の俺から見ても精巧な造りだ。

今にも羽ばたきそうな鷹がそこにいた。

勿論玩具だし、ある程度は凸凹しているのだが、それでも良く出来ていた。

『スゲー、後は魚のみじゃん。でも夢中になりすぎずにゆっくり作れよな~』と返信し、やがて眠った。

木曜の夜。

俺が風呂を上がると、携帯が鳴った。

彼女だ。

『ユウくん、さっき電話した?』

「いいや。どうした?」

『5分ほど前から、30秒感覚くらいで着信くるの。通話押しても、何か街の雑踏のザワザワみたいな、大勢の話し声みたいなのが聞こえて、すぐ切れるの。 着信見たら、普通番号表示されるか、非通知か、公衆とか出るよね?でもその着信見たら彼方(かなた)って出るの。こんなの登録もしてないのに。気持ち悪くて』

「そうか…そっち行った方がいいか?」

『いや、今日は電源切って寝る』

「そっか、ま、何かの混線じゃない?あぁ、ところでリンフォンどうなった?魚は?」

『あぁ、あれもうすぐ出来るよ、終わったらユウくんにも貸してあげようか』

「うん、楽しみにしてるよ」

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