國比呂少年怪異譚
金曜日。

奇妙な電話の事も気になった俺は、彼女に電話して、家に行く事になった。

リンフォンはほぼ魚の形をしており、あとは背鰭や尾鰭を付け足すと、完成という風に見えた。

「昼にまた変な電話があったって?」

「うん。昼休みにパン食べてたら携帯が鳴って、今度は普通に非通知だったんで出たの。 それで通話押してみると、『出して』って大勢の男女の声が聞こえて、それで切れた」

「やっぱ混線かイタズラかなぁ?明日ショップ一緒に行ってみる?」

「そうだね、そうしようか」

その後、リンフォンってほんと凄い玩具だよな、って話をしながら魚を完成させる為に色々いじくってたが、なかなか尾鰭と背鰭の出し方が分からない。

やっぱり最後の最後だから難しくしてんのかなぁ、とか言い合いながら、四苦八苦していた。

やがて眠くなってきたので、次の日が土曜だし、着替えも持ってきた俺は彼女の家に泊まる事にした。

…嫌な夢を見た。

暗い谷底から、大勢の裸の男女が這い登ってくる。

俺は必死に崖を登って逃げる。

後少し、後少しで頂上だ。

助かる。

頂上に手をかけたその時、女に足を摑まれた。

「連  れ  て  っ  て  よ  ぉ  !  」

汗だくで目覚めた。

まだ午前5時過ぎだった。

再び眠れそうになかった俺は、ボーッとしながら、彼女が起きるまで布団に寝転がっていた。

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