國比呂少年怪異譚
土曜日。

携帯ショップに行ったが大した原因は分からずじまいだった。

そして、話の流れで気分転換に『占いでもしてもらおうか』って事になった。

市内でも『当たる』と有名な占いの男の子がいる。

茶の短髪、丸い眼鏡、紺のコートを着た中学生くらいの男の子。

ところが予約がいるらしく、電話すると、運よく翌日の日曜にアポが取れた。

その日は適当に買い物などして、外泊した。

日曜日。

昼過ぎに男の子の所に着いた。

「予約した者ですが」

「どうぞ」

男の子に勧められると、路上の占いスペースの周囲に猫がいた。

俺達を見ると、ギャッと威嚇をし、路地裏の奥へ逃げていった。

男の子の足元も猫に囲まれている。

俺達が近付いた瞬間、一斉に『ギャーォ!』と親の仇でも見たような声で威嚇し、散り散りに逃げていった。

流石に感じが悪い。

彼女と困ったように顔を見合わせていると、

「すみませんが、帰って下さい」

男の子が言った。

ちょっとムッとした俺は、どういう事か訊く。

「僕が猫を沢山飼ってるのは、そういうモノに敏感に反応してるからです。猫達が、占って良い人と悪い人を選り分けてくれてるんですよ。こんな反応をしたのは初めてです」

< 42 / 100 >

この作品をシェア

pagetop