國比呂少年怪異譚
翌日。

坊さんが来た時に家に入るなり、

「獣臭いのう。念の為に仏様の部屋で香を焚いておいて良かったわい」

そう言われ、昨日の出来事は現実だったんだと思い、またゾッとしたという。

僕はそんな事をするのは狐だろうと思い母親に話すと、

「馬鹿な事言わないの。狐様はそんな悪さはせんよ。うちじゃ祀っとらんが、稲荷さんの悪口は言ってはいかん」

そう諭された。

じゃあなんなんだ、という問いになると急に黙り込み、その日は口をきいてくれなかった。

< 62 / 100 >

この作品をシェア

pagetop