國比呂少年怪異譚
泉の広場に続く階段を途中まで降りると、赤服の女がしっかり居た。

下から3段目ぐらいの、階段右の隅っこの方に、背中をこっちに向けて座ってた。

(もしかしてこれは待ち伏せ?)

反射的にそう思った。

私は広場をうろつく姿は見てたけど、女が階段に座ってるのを見た事はなかった。

妄想かも、と思ったけどゾッとした。

逃げた方がいいと思った時、女がユラァ…と立ち上がった。

まるで、操り人形の糸を引いたみたいな不自然な立ち方で。

何故かその瞬間『あっ、こっち向く!』って判って。

慌てて階段駆け上がって後ろも見ず逃げた。

その時は体動いたんで、神様ありがとうと結構マジに思った。












< 7 / 100 >

この作品をシェア

pagetop