國比呂少年怪異譚
神に愛されるという事
占い師に『長生きできない』と言われた事がある。

ちょっと風変わりな占い師で、茶の短髪に丸い眼鏡、紺色のコート着た路上でやってる占い師の男の子なんだけど。

理由も聞いた。

『貴女、大陸に行った事あるでしょう? そこで憑かれたんだと思うけど、悪霊なんてもんじゃないです。神に近いから、まず祓えないし、どこに行っても障る事を恐れて何もできないですよ』とか。

確かに、仕事で中国に数年住んでいた。

「まあ、日本にいる限り、息子さんが成人するまでは持ちますよ。貴女の背後に白狐が見える。これが強いし、貴女の家系、将門信仰してる人がいますからね。お祖父様お祖母様に感謝する事です…それと、叔母さんかな?修道院にいる人もいますねえ。彼女も遠くから貴女を守っていますよ…でも、言い難いですが、あと数年ですね」

息子、もう15歳なんですが。

あと5年でこの世とさよなら?

それを何故断言できる?

私の不審そうな顔に、占い師は続けた。

「貴女、過去に手の筋切って何かできなくなってないですか?」

確かに。

ジャズピアノをやっていて、そこそこ仕事もあったが、交通事故の後遺症で今、左手があまり動かず、ピアノなんてもうとても無理な状態である。

< 8 / 100 >

この作品をシェア

pagetop