國比呂少年怪異譚
「それは持って行かれたんですよ。でも命だけは、貴女を守る人達に救われた。でも、次は全て取る、と言っていますよ…すみません、不快な事ばかり言って」

占い師はそう言って、私から料金を取らなかった。

あと5年でこの世から去る? 

俄かに信じられないし、今も信じてない。

ところが、その占い師は『当たる』と評判だそうだ。

割と高額な見料も、あんなに長時間話したのに『残りの人生に使いなさい』と貰わなかった。

帰宅後、夫と子供に話した。

信じてないけど、と言いつつ。

「私が死んだら、あななたちが心配で…」

そう言ったら、夫も子供も、『それは自分達が乗り越える事。おかんは心配しないで、残りを好きに使っていいよ』と。

今のところ病気などは無い。

でも人は何で死ぬか解らない。

ちなみに、後日、ある有名神社にお祓いの相談をしたら、占い師の言った通り『神様にはできる限り障りたく無いんです。こちらの命も危ないですから』と。

「すいません、どんな神様が憑いてるって?」

「…地獄の神様です。貴女の左手を持ってます…日本の神様ではありませんね」


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