恋色シンフォニー 〜第2楽章〜
3.婚約指輪Ⅱ

土曜日。
てっきりショッピングモールにあるジュエリーショップにでも行くのかと思いきや。
やってきたのは、閑静な住宅街にある、豪邸だった。


圭太郎は慣れたように駐車スペースに車を止め、入口に向かっていく。

これ、お店?
洋館の一階の一部分が住居とは違ったテイストになっているけど……。

「そこに看板あるでしょ?」

見ると。

ジュエリーショップの小さな看板。
婚約指輪・結婚指輪専門店、とある。

……何で来たことあるのよ。

……別にいいけど。


「指輪を買いに来たことはないから安心して?」

私の顔を見ながらニヤニヤして言わないで。

じゃあ、何しに来たことがあるっていうんだか。

……別にいいけど。


カランコロン、と音をさせて圭太郎がドアを開けると。

「いらっしゃいませ! お待ちしてました!」

ゴージャスな熟女が笑顔でお出迎えしてくれた。
他にお客さんも店員さんもいない。

狭い店内には、所狭しとショーケースがひしめき合い、指輪がキラキラしている。

……まぶしい。目がくらむ。


< 11 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop