恋色シンフォニー 〜第2楽章〜
3.婚約指輪Ⅱ
土曜日。
てっきりショッピングモールにあるジュエリーショップにでも行くのかと思いきや。
やってきたのは、閑静な住宅街にある、豪邸だった。
圭太郎は慣れたように駐車スペースに車を止め、入口に向かっていく。
これ、お店?
洋館の一階の一部分が住居とは違ったテイストになっているけど……。
「そこに看板あるでしょ?」
見ると。
ジュエリーショップの小さな看板。
婚約指輪・結婚指輪専門店、とある。
……何で来たことあるのよ。
……別にいいけど。
「指輪を買いに来たことはないから安心して?」
私の顔を見ながらニヤニヤして言わないで。
じゃあ、何しに来たことがあるっていうんだか。
……別にいいけど。
カランコロン、と音をさせて圭太郎がドアを開けると。
「いらっしゃいませ! お待ちしてました!」
ゴージャスな熟女が笑顔でお出迎えしてくれた。
他にお客さんも店員さんもいない。
狭い店内には、所狭しとショーケースがひしめき合い、指輪がキラキラしている。
……まぶしい。目がくらむ。