恋色シンフォニー 〜第2楽章〜
7.理由Ⅱ
日曜夕方、ひとりで荷造りに勤しんでいる。
次の土曜日が引越し。
この週末は、圭太郎に会わずに、ひたすら荷造りしてた。
もー、疲れた。
いらないものは捨てながら進めていたんだけど、だんだん面倒になってきて、とりあえず全部圭太郎んち運んで、荷解きしながら整理するか、と思い始めていた。
と。電話が鳴った。
おや。圭太郎?
「はいはーい」
『お疲れさま。どう? 進んでる?』
「うん、それなり。あとは前日の金曜日に休みとったから、何とかなりそう」
『そっか』
「どうしたの?」
『……ん、ちょっと声がききたくなって』
わを。また、この人は。
……でも、どこか、何か、変。
「圭太郎は何してたの?」
『……掃除とか、かな』
……うーん、やっぱり、変。
「ごはん食べた?」
『……まだ』
「じゃあ、うちで一緒に食べない? ハヤシライス大量に作っちゃって、余ってるんだよね」
『……行ったら、帰りたくなくなるから、いい』
……これは、重症かな?
「泊まっていいよ? その……諸事情により、できないけど。一緒に寝るだけだけど、それでよければ」
『僕のこと、身体目当てのしょーもない奴みたいに言わないでくれる?』
よかった。
冗談言えて笑えるならまだ大丈夫。