恋色シンフォニー 〜第2楽章〜
「じゃあ、パガニーニのカプリース24番」
ふふん。さあ、どう出る?
圭太郎を見ると。
……あ、ヤバいかも。
目がすわってる。
「わかった。2週間くれる?」
プライドが高いヴァイオリニストのスイッチを入れてしまったらしい。
「綾乃が2週間後に引っ越してきたお祝いに弾いてあげる」
「はっ⁉︎」
「明日指輪選びに行った後、引越屋に見積もりに来てもらおう。明後日の日曜日は予定通り綾乃のご両親に挨拶に行って、帰ってから荷造り。よかったら手伝うけど?」
「いえ、結構です」
見られたくないもの、こっそり処分したい。
「じゃ、僕は僕で綾乃を迎える準備しとくね。
その次の週末に本格的に荷造りして、その次の週末に引越し。決まり」
……恐るべき段取り力。
さすが残業しない男だ。
それにしても……、やっぱりこの男には勝てないようです。