恋色シンフォニー 〜第2楽章〜
10.結婚祝
「綾乃はブラコン好き?」
「大好き!」
……何という会話かと思われますね。
ここでのブラコンとは、ブラザーコンプレックスではなくて、ブラームスのヴァイオリンコンチェルトのこと。
「龍之介が、結婚祝やるから、楽器と弓以外で何がいいか考えとけっていうんだけどさ」
「まさか」
「うん。次の次、秋の定演がキリ番の記念演奏会になるんだけど、そこでソリストやってもらおうと思ってる。協力してくれる?」
「するする!」
設楽さんと圭太郎の共演、見てみたい‼︎
「圭太郎は何だかんだ言って、設楽さんのこと、認めてるよね」
圭太郎は ものすごい渋い顔をした。
「……何だかんだ言って、あいつがいなかったら、今の僕はないから」