恋色シンフォニー 〜第2楽章〜
12.婚約指輪Ⅲ
婚約指輪が出来上がった。
仏壇の前に2人で座る。
お線香をあげて、手を合わせる。
そして、正座のまま、向かい合う。
圭太郎は、真剣な顔で、
「改めまして、僕と結婚してください」
と言うものだから。
ちょっと泣けた。
「喜んで結婚します。こんな私ですが、よろしくお願いします」
にっこり笑った圭太郎が指輪を取り出し、にじり寄ってきた。
「はい。手出して」
私が左手を出すと、丁寧な仕草で薬指にはめてくれる。
相も変わらず、圭太郎に触れられると、ドキドキする。
「どうですか?」
小さなダイヤモンドとほんとにちっちゃなピンクダイヤモンドが輝く指輪。
慎ましく、シンプルなデザインが気に入った。
じわじわ幸せがこみあげてくる。
「……重いです。圭太郎の気持ちをひしひし感じます」
「あははっ、それはよかった。たっぷり入ってるから」
圭太郎は笑いながら、私を抱き寄せてキスをしようとするので、慌てて止めた。
「ちょっと待った。ご両親に見られてる気がして、ここでは恥ずかしいんですが」
「んー、そう?」
圭太郎の目がちょっと泳いだのを見逃さなかったわよ。
「ねえ、今さらだけど、付き合う前、私が酔い潰れてここに寝かされた時、何かした?」