恋色シンフォニー 〜第2楽章〜

◇◆◇


ベッドの上で仰向けになり、目を閉じて、
「三神くんの腹黒さには降参」
とは言ったものの。
この後のことを考え、はっとして目を開けた。

至近距離に迫っていた彼は少し驚いた顔をする。

「待って」

「? 僕は綾乃が来る前シャワー浴びたし、さっき手も洗ったけど」

こういうところに、育ちのよさを感じる。

「あ、それともトイレ行く?」

何という気遣い!

まあ、そのことではなかったんだけど、せっかくなので行かせてもらうことにした。


トイレで、まあ、いろんな心の準備やら点検やらをして出ると、彼は部屋の前の廊下で待っていた。

「別に逃げようと思ってないから」

言うと、彼はおかしそうに笑った。


私は先に部屋に入り、ベッドにもぐりこむ。首から下、寝るときのように布団をかぶる。

彼が私を組み敷こうとするので、
「逃げないからちょっと待って」
と制する。

布団の中でもぞもぞ動く私を、ベッドに腰掛け、不思議そうに見つめる彼。

「寒い?」

「……そういうわけじゃないけど」

「恥ずかしい?」

「当たり前でしょ。こんな……もー、不本意。すっごく不本意」
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