恋色シンフォニー 〜第2楽章〜
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ベッドの上で仰向けになり、目を閉じて、
「三神くんの腹黒さには降参」
とは言ったものの。
この後のことを考え、はっとして目を開けた。
至近距離に迫っていた彼は少し驚いた顔をする。
「待って」
「? 僕は綾乃が来る前シャワー浴びたし、さっき手も洗ったけど」
こういうところに、育ちのよさを感じる。
「あ、それともトイレ行く?」
何という気遣い!
まあ、そのことではなかったんだけど、せっかくなので行かせてもらうことにした。
トイレで、まあ、いろんな心の準備やら点検やらをして出ると、彼は部屋の前の廊下で待っていた。
「別に逃げようと思ってないから」
言うと、彼はおかしそうに笑った。
私は先に部屋に入り、ベッドにもぐりこむ。首から下、寝るときのように布団をかぶる。
彼が私を組み敷こうとするので、
「逃げないからちょっと待って」
と制する。
布団の中でもぞもぞ動く私を、ベッドに腰掛け、不思議そうに見つめる彼。
「寒い?」
「……そういうわけじゃないけど」
「恥ずかしい?」
「当たり前でしょ。こんな……もー、不本意。すっごく不本意」