君のその小さな背中が 【その背中、抱きしめて】番外編SS
その日の部活中に、ライト打ちテストをすることになった。
ウォーミングアップの後に3球、ストレートとクロスとインナーの打ち分けをする。
緊張はない。
高く上がったボールを100%の力で叩いた。
3球ともほぼ狙ったところに落ちた。
そこにいる大地以外の全員がポカンと口を開けてる中、顧問に向かって聞いた。
「どうですか?」
「…お前いつの間に左打ちなんて」
「俺の質問に答えてください」
経緯とか話す必要ない。
ライトで使ってくれるのか使ってくれないのか、それだけ答えてくれればいい。
(使わないとかありえねーけど)
「ライトで考えてみるよ。他のメンバーにも関わってくるから少し時間くれ」
近くに来た大地と、肩まで上げたお互いの腕をぶつけた。
「やったな、翔!」
これで一歩前進だ。
次は、このスパイクで全国に行く。