反対言葉。
一歩足を進めるごとに、ざくりざくりと乾いた落ち葉が鳴った。


秋風は寂しい、といつも思う。


踏みしめる落ち葉の音は、からからに干された寂寥感のようで好きじゃない。


傲慢に何もかもを自分のペースに巻き込んでしまうから。


「はあ……」


気だるげなため息をひとつ。


なんだって正午から一人寂しく山道を歩き続けなきゃいけないんだ。このわたしが。

……いや、大したわたしではないけれども。


一応申告しておくと、一人で歩いているのはぼっちだからではない。

……と、友だちがいないわけではないのだ。別に。


高三にもなって志望校(仮)も決まらず、適当な大学のオープンキャンパスにも行かずに、ぐうたらな夏休みを過ごした阿呆な友人がいなかっただけだ。


本腰を入れ始めた彼女たちは、当然のように勉強に忙しかった。


「ねえ、オープンキャンパス行かない?」

「は?」

「……オープン、キャンパス……」

「このクソ忙しい時期にもう一回説明聞いてどうすんじゃああああ!」

「そうだよ、あたしなんか志望校じゃないし」


と全然取りあってくれなくて、諦めて一人で行くことにしたのだ。


仕方がないから、わたしはぽつねんと秋のオープンキャンパスをハシゴしている。


仕方なーく、担任の先生に勧められた、とりあえず県内の学校、特に家から近い学校をやる気など皆無で巡っているのである。
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