反対言葉。
今日は、求められる学力が高すぎて行けるはずもない、でも一番近所で通いやすい学校だ。


一応徒歩で通える。


自転車通学でもいいんだけど、坂道がきついからあんまり自転車の意味がない。


バスも通ってはいるけど、料金が高めでいけない。


バイト禁止な高校に通っている身としては、もったいないよなあ、としか思えなかった。


「ぐああ、きついいい……」


小声で女子力を粉塵にしたような発言を呟きつつ、足をなんとか前に出す。


もう少しだ。

山の頂上に建ってる学校なんてくそくらえだけどもう少しだ。


着いたら浮いたバス代でお茶でもしようぜわたし。


せっかく節約したのに馬鹿かなあ。でも喉乾いたしなあ……。


そうだ、こういうときこそお金の使いどころだ。

ここでケチってもなにもいいことなんかないんだ。


良心と欲望の自問自答は、甘いささやきが優勢。


よし。決めた。もちろんわたしはお茶をする。


だってしないとダメだろう。


中身なんて筆箱くらいの羽みたいな重さのリュックさえ重く感じるんだから、これはもはや末期だ。


きちんと休憩をしてたっぷり休んでしっかり回復しなければならないだろう。


オープンキャンパスに来たんだから、大学の様子を見ておく必要もある。


つまりお茶するのは悪いことじゃない。


ぜいぜいはあはあ息を切らして坂道を登り切り、わたしは正門のすぐ横に見えたカフェに駆け込んだ。
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