反対言葉。
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オープンキャンパスなんて、俺には関係ない。
去年はそう思っていた。というか、今年もそう思いたかった。
なんだってこのクソ暑い時期にクソ混雑するだけの学校に雑用係なんかで来なくちゃいけないんだ。あほか。
きっかけは、サークルだった。
今までボランティアを募っていたうちの大学も、ようやくボランティアなんかでは誰も集まらないということに気づいたらしく、今年から各サークルニ人はオープンキャンパスの手伝いをやれ、と決めたのである。
うちのサークルには一年生がおらず、二年生がニ人いる。
先輩は誰もやりたがらない。
というか誰でもやりたがらない。
つまり、二年生でよくね? と、なかば理不尽にオープンキャンパスの手伝い——もとい、雑用係になることが決定してしまったのである。
俺がなったのは、総合案内所とかいうところの受付スタッフだった。
「見目がいいから。女子対策」らしい。
……知るか。
受付といっても、ただ受付するだけじゃない。
ツアーで案内役をしたり、質問に答えたり、その他飲みものとかお菓子とかを用意しながら話をしたり、幅広くやらされる。
俺は仕方なく、それはもう本当に仕方なく当日手伝う人に向けた事前の説明会に参加し。
自分用の名札を買い、それにできるだけ丁寧な字で高良と書いた紙を入れ。
今日はその名札を首から下げて、決められた蛍光青の上着を着て、椅子に陣取っているわけだった。