反対言葉。
人はまあ、ぼちぼち来た。


女子に声をかけられることもまあ、それなりに何回かあった。対策とやらの成果はそれなりにあったらしい。


でも俺としては早く帰りたい。


騒がれて目立つのはあまり得意じゃないし、何より暑い。疲れた。


「交代しまーす」


……よし。やっと帰れる。


紙コップの麦茶を飲んで気を紛らわしながら耐えていると、ようやく昼になったらしい。


腕時計はしているが、あまり頻繁に見るのも気が引けて、時間感覚が最早よく分からなくなっていた。


悪印象を与えないように、と私語厳禁なために暇つぶしもできなくて、ただひたすら人を待ち、貼り付けた笑顔で対応し続けていたのだ。


飴やクッキーなどの軽い菓子類と飲み物を出して、パンフレットなんかの資料を渡して、来訪者の人数を記録する。


椅子は用意されていたが、屋外なのがつらかった。


もう暑くて暑くてどうしようもなかった。


昼休憩で交代、あとはもう仕事はないので、俺は自由の身。


……腹減ったな。適当に昼食って帰るか。


一時半で交代だから、真昼を少し過ぎて、ちょうど人が減り始める時間帯だろう。


「お疲れ様です。お先失礼します」


名札と蛍光青の上着を脱ぎ捨てて、いそいそと穴場のカフェテリアに向かった。
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