四門メグへの手紙~魔女の瞳番外編~
ひとしきり氷弾を撃ったところで。

「…っ」

私は魔術の行使を止めました。

「…へっ」

男も足を止めます。

あれ程高速で動き回っていたのに、息一つ乱してはいませんでした。

「どうしたお嬢ちゃん。打ち止めか?」

「……」

私は無言のまま、男を睨みます。

「なら都合がいい」

男はまた低い姿勢をとり。

「俺に美味しくいただかれちまいな!」

三度目の、高速の突進を仕掛けてきました。

今度は直線ではなく、稲妻のようなジグザグの動き。

私の魔術を警戒しての事だったんでしょう。

複雑な動きをすれば狙いが定めにくくなる。

やっぱり彼は戦い慣れています。

だけど。

「        !」

私だって戦術は優れているって、メグさんに誉められた事がありますもんね。

男を倒すには、まずその長所を殺す事だって。

瞬時に判断した私が行使したのは、『凍土』の魔術でした。

つまり、地面を凍らせたんです。

「うおっ!?」

突如として鏡面のように凍りついた公園の地面。

男はその凍りついた大地に足をとられて転倒しました。

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