四門メグへの手紙~魔女の瞳番外編~
欲を言えば、男の両足を凍りつかせて地面に縫い付けてやりたかったんですが。

この際贅沢は言ってられません。

転倒した男の隙を突いて。

「       っ!」

私は更なる魔術を行使します。

『氷槌』

男の頭上…空中に、直径5メートルはあろうかという氷塊が発生しました。

氷塊はそのまま重力に任せて、男へと落下していきます!

「げっ!」

やっと立ち上がろうとしていた男は、滑稽な声を上げました。

冗談じゃないとばかりに。

寸前で氷塊を回避。

凄まじい轟音を立てて、氷塊は地面に激突して粉々に砕け散りました。

「危ねぇ危ねぇ…」

流石の男も焦ったのか、額に汗を浮かべています。

「可愛い顔してえげつない手を使うじゃねえか、お嬢ちゃん」

「……」

仕留め損なったのは失策でした。

あれ程の動きを見せる男に、こんなチャンスは何度も訪れないっていうのに。

チャンスがあるとすれば、あと一回だけ…!


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