四門メグへの手紙~魔女の瞳番外編~
「じゃあ」

私はジルコーに向き直りました。

「私と協力体制をとるのなら、一つ約束して下さい」

「おぅ、何だ?」

「魔力の有無に関わらず、人間は食べないで下さい。私も人間社会に溶け込んで暮らす者として、人間が食い殺されるのは忍びないです」

「……」

神妙な表情のまま、ジルコーは私を見ました。

「人間の肩を持つってのか。魔女の癖に」

「…何とでも…言って下さい」

私は口を尖らせました。

メグさんだって、私の言い分は甘いって言うでしょうね。

でも、ジルコーは人間以外のものを食べても生きていけるんです。

それに従えるだけの理性も持ち合わせているんです。

だったら、出来うる限り人間を食べるような真似はして欲しくない。

その時の私はそう思ったんです。

「やれやれ…甘ちゃんだな、お嬢ちゃんは」

苦笑いするジルコー。

「まぁいいや。ここでごねてご褒美もらえなくなるのも困るからな。約束するよ」

「じゃあ…!」

私の顔を見て、ジルコーは首を縦に振りました。

「人間は食わない。その代わり報酬の方はちゃんと頼むぜ?」

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