四門メグへの手紙~魔女の瞳番外編~
狼になったジルコーはもう一度言います。

「乗れ」

「え?乗れって…」

背中にまたがれって事?

「当たり前だろう。その代わり道案内はしろよ?」

そう言ってジルコーは伏せの姿勢になります。

で、でも…。

私、乗馬だってした事ないのに、狼に乗るなんて…。

「上手く乗りこなせるかしら…」

「馬ぁ鹿」

ジルコーは笑います。

「お嬢ちゃん如きに俺が乗りこなせる訳ねぇだろが。大丈夫だ、振り落とさねぇようにゆっくり走ってやるからよ。それでもチンタラ歩いて墓地に向かうよりは断然速い」

「……」

こんな事なら、ジーンズ穿いてくればよかったな…。

「お邪魔します…重かったらごめんなさい…」

私はそっとジルコーの背中に座りました。

スカートだからまたがるなんて出来ません。

女の子乗りです。

「よっしゃ」

「きゃ!」

ジルコーは乱暴に立ち上がりました。

「しっかり捕まってろよ。俺の背中の毛でも鷲掴みにしとけ」

< 37 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop