四門メグへの手紙~魔女の瞳番外編~
グールがゆっくりと片手を振り上げました。

勿論ジルコーは回避します。

先程までジルコーがいた場所に振り下ろされる、グールの拳。

その拳は。

「!?」

いとも簡単に墓地の敷石を粉砕しました。

信じられないほどの怪力。

…考えてみれば、人間の体を食いちぎるほどの力です。

咬合力がそれほどなら、腕力は容易に想像がつきます。

「こりゃあ、アレだな」

一足飛びにグールとの距離をとり、私の側に戻ってきたジルコーが言います。

「思っていた以上に手間取るかも知れねぇな」

「今度は私も援護します」

私は右手に魔力を収束しました。

体格に比例して、グールは耐久力も高いようです。

貫通力のある殺傷魔術で、一気にダメージを与えなければ。

頭の中で、螺旋をイメージします。

「        っ!」

そのイメージと共に高速詠唱で行使したのは、『氷渦』の魔術。

雹を伴う吹雪の渦です。

高速回転する冷気の渦が、グールの胸板に直撃します!

「…!…!!…」

声にならない唸り声を上げ、グールの巨体が後退しました。

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