四門メグへの手紙~魔女の瞳番外編~
よく言うじゃないですか。

『突き刺さるような視線』って。

まさにこの事なんだなって理解しました。

…本当に。

本当に動けないんです。

すぐにわかりました。

背後の茂みに何かが潜んでいるんだって。

その茂みの中から、私の背中に視線が注がれているんだって。

きっと隙だらけの私の背中に飛び掛ってきて、これまでの被害者達みたいに『食糧』にされるんだって。

そこまで理解していながら、振り向く事さえ出来ませんでした。

多分私は、生まれて初めて『殺気』というものを感じていました。

殺意を秘めた気配。

命を奪う事を、相手にあからさまに認識させる視線。

それがこんなにも恐ろしい事だなんて…!

でも、今更恐れてなんかいられませんでした。

これは私が望んでいた結果。

私の失いたくない日常を守る為に、私自身が危険に身を委ねた結果。

だったら後は、これまで培ってきた魔道の技術によって、日常を奪おうとするこの『殺意』と相対するだけ…!

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