翼をください
「近くまで行ってみようか」
うん、と頷くとゆっくり、ゆっくり前に進んでいった。
いつもより遅く、ゆっくりと。
怖いくらいに空や木々に見られているような気がして仕方がない。
古い神社の前まで行くと、繋いでいた手が離れた。
え……?
不安になって見上げると、
「お祈りしようか」
と、言われ財布を取るためだと分かり安心した。
私たちはまた、5円玉3枚をお賽銭箱に入れた。
願い事はさっきと一緒。
けど、さっきよりも切実に祈っている自分がいた。