翼をください





「近くまで行ってみようか」




うん、と頷くとゆっくり、ゆっくり前に進んでいった。




いつもより遅く、ゆっくりと。




怖いくらいに空や木々に見られているような気がして仕方がない。




古い神社の前まで行くと、繋いでいた手が離れた。




え……?




不安になって見上げると、




「お祈りしようか」




と、言われ財布を取るためだと分かり安心した。




私たちはまた、5円玉3枚をお賽銭箱に入れた。




願い事はさっきと一緒。




けど、さっきよりも切実に祈っている自分がいた。




< 100 / 200 >

この作品をシェア

pagetop